
京都の縁切り神社といえば安井金毘羅宮です。京都にとどまらず日本で最も有名な縁切り神社ではないでしょうか。
しかし、安井金毘羅宮が縁切り神社としてここまで有名になり、しかも縁切り効果が高い理由をご存じでしょうか?
この記事ではそのあたりのことを中心にお伝えします。
また、京都には安井金毘羅宮以外にも強力な縁切り神社がいくつかあります。日本の神道の考え方においては、複数の神社にお参りしてはいけないなどというルールはありません。
縁切り祈願で京都に行くなら、ぜひこれらの縁切り神社をめぐってみてください。
たくさんの神様から応援していただいたほうが、縁切りもうまくいくと思いませんか?
さらに、縁切り神社に行って祈願をしても、縁切りがうまくいく人とうまくいかない人は何が違うのかについてもお話しています。
「縁切り祈願なんてして、罰が当たったりしないのかな?」なんて不安をお持ちの方はぜひ最後まで読んでみてください。
縁切りの心構えを整えて、上手な縁切り祈願ができるようになると思いますよ。
ではいってみましょう。
目次
安井金毘羅宮はなぜ縁切り神社として効果があるのか?

それは、お祀りされている神様が日本最強の縁切りパワーを持っているからです。
その神様を崇徳天皇といいます。
なぜ縁切りの神様と言われるのか?
それはこんなエピソードがあるからです。
崇徳天皇は実際に在位した不遇の天皇です。第75代の天皇で、幼くして即位しました。
しかし父親である第74代の鳥羽天皇から「お前は私の息子ではない」と疑われてしまい、20歳で退位させられます。(天皇が退位すると「上皇」となります。平成天皇が退位されて上皇様になったのと同じです。)
崇徳上皇はもちろん納得するはずがありません。当時の日本の最高権力者の地位から父親によって引きずり降ろされたのですから。崇徳上皇は反乱を起こします。反乱を起こして、自分の後に天皇に即位した後白河天皇と戦います。
しかしその戦いに敗れてしまい、讃岐に島流しになります。京都の地から讃岐に島流しになるときに、愛する奥さんとも引き離されます。彼は世の中に絶望してしまい、すべての欲を断ち切って、讃岐の金毘羅宮に引きこもってしまったのです。
このエピソードから、崇徳天皇は世に恨みを抱く「日本の三大怨霊」の一人と言われることもあります。
しかし、崇徳天皇は本当はとても優しい人でした。愛する妻と離れ離れになって自分と同じ苦しみに悩む人がいなくなるようにと、幸せを妨げる悪縁を断ち切って、良縁を結んでくれる神様として崇拝されるようになったのです。
そんな崇徳天皇がお祀りされている神社で最も有名なのが、安井金毘羅宮なのです。
全国から年間100万人を超える人が縁切りのご利益を求めて訪れます。
安井金毘羅宮での縁切り祈願の方法

まず本殿へお参りします。
自分の名前、住所を心の中で唱え、祭神である崇徳天皇にお参りします。
あなたが置かれている状況、具体的にどんな縁切りをしたいのかを心の中で訴えるとよいでしょう。
本殿へのお参りを済ませたら、本殿近くにある「形代授与所」で形代(かたしろ)に願いを書き込みます。
形代に願いを書き込んだ後は、その形代を手にして縁切り縁結び碑の表から穴をくぐります。
穴は大人がやっと通れるほどなので、這ってくぐります。これでまず悪縁を断ち切ることができます。
さらに振り返ってもう一度同じ穴をくぐります。これで良縁を結ぶことができます。
表から穴をくぐった先は「裏」です。悪縁を切った後は、裏の方からもう一度表の方に向かって穴をくぐり、今度は良縁を結びます。
そして最後に手にした形代を縁切り縁結び碑に貼り付けましょう。
この碑をくぐるとき、注意点があります。
それは「強い気持ち」を持つこと。
この独特の存在感を放つ縁切り縁結び碑。写真を見ただけでも「なんかすごそう」と思えてしまいます。
実際に目にするとその迫力に圧倒されるでしょう。その迫力は何から生まれているかというと、数多くの人の「念」です。
安井金毘羅宮に奉納された絵馬の内容を見れば、どんな「念」が渦巻いてるか想像はつくでしょう。
「〇〇と△△の縁が切れますように」
「〇〇が不幸になりますように」
このようなネガティブな想念が渦巻いている場所です。
生半可な気持ちで行かないほうがいいでしょう。
本気の縁切り祈願をしたいときに、「強い気持ち」を持って訪れましょう。
なお、安井金比羅宮は24時間参拝可能です。
人目が気になるという人は夜遅くに参拝するのもありですね。
安井金毘羅宮はなぜ縁切り神社として有名になったのか?

安井金毘羅宮が縁切り神社として効果があるのは、祭神が崇徳天皇だからです。
しかし、全国には安井金毘羅宮のほかにも崇徳天皇をお祀りする神社はあります。
それにも関わらず、なぜ安井金毘羅宮だけがこれほど有名になったのでしょうか?
それにはこんな理由があります。
時は日本がまだバブル景気に突入する少し前の時代。今から約40年前の話です。
京都で地上げ屋が、神社の境内地を買い取ろうとしていました。
特に参拝者が少なく拝観料収入の少ない神社が狙われました。
参拝者が伸び悩んでいたのは安井金毘羅宮も同じです。当時の宮司さんは危機感を抱いていました。
どうすれば参拝客を増やすことができるのか?
安井金毘羅宮は崇徳天皇を祭神とし、古くから縁切りのご利益があることで知られていました。
しかし、当時はそれほど「縁切り」を前面に出していたわけではないのです。
普通、神社に祈願に行くときって、縁結びとか合格祈願とか安産祈願とかポジティブな願いをしに行く場所でした。
もちろん厄除けもありますけど、多くはポジティブなお願いをしに行っていたのではないでしょうか。
ただ、「何でもお願いしてください」では特徴が出ないと思った宮司さんは、ある賭けに出ます。
それが、「縁切り縁結び碑」の建立です。
他の神社とは違うオンリーワンの神社になろうと思った宮司さんは、崇徳天皇とゆかりが深い神社ということから、「縁切り専門神社」に生まれ変わることを選択したのです。
そう、今や安井金毘羅宮の象徴となっている「縁切り縁結び碑」はこのとき作られたのです。
この決断、怖かったと思うんですよね~。だって縁切り専門神社なんて、かなりネガティブじゃないですか。
風評被害とかもありそうだし。
でも、このまま手をこまねいていても、京都は神社がたくさんありますから、何もしなければ、他の神社に埋もれてしまい、参拝客は減るばかりだだったでしょう。
宮司さんの勇気ある決断ですね。
この決断が人間関係や男女関係に悩む女性の心をつかんだのです。
悪縁を断って、良縁を結ぶ。逆にいうと、良縁を結ぶためには、先に悪縁を切らなければならない。
この考え方は安井金毘羅宮からはじまったんですね。
こうして、安井金毘羅宮は日本で最も有名な縁切り神社になったというわけです。
安井金毘羅宮以外の京都の縁切り神社

ここまで日本で最も有名な縁切り神社である安井金毘羅宮について紹介しましたが、京都には他にもおすすめできる縁切り神社がいくつかあります。
ここからはそれらの神社を紹介していきましょう。
その神社とは、つぎの5社です。
⛩ 藤森神社 境内 大将軍社
⛩ 西加茂大将軍神社
⛩ 八坂神社
⛩ 白峯神宮
貴船神社 境内 中宮
京都府京都市左京区鞍馬貴船町180
藤森神社 境内 大将軍社
京都府京都市伏見区深草鳥居崎町609
西加茂大将軍神社
京都府京都市北区西賀茂角社町129
八坂神社
京都府京都市東山区祇園町北側625
白峯神宮
京都府京都市上京区飛鳥井町261
なぜ、これらの神社をおすすめするのか?
それは、お祀りされている神様に縁切りパワーがあるからです。
縁切りの神様として最も有名でおそらく最強のパワーを持っているのが、先ほどお話した崇徳天皇です。
しかし、日本神話には崇徳天皇以外にも縁切りのご利益を授けてくれる神様がいらっしゃいます。
その神様とは次の二柱です。
●磐長姫命
●須勢理毘売命
(あ、ちなみに神様を数えるときは〇柱と言います。)
この神様がお祀りされている神社は強力な縁切り効果があります。
どのような神様なのか、なぜ縁切りのパワーがあるのか簡単に説明していきましょう。
縁切りの神様 磐長姫命
磐長姫命には絶世の美女と言われた妹がいました。名前を木花之佐久夜毘売命といいます。
しかし妹と違って姉の磐長姫命は日本神話界きってのブスと言われていました。
ある日、妹のコノハナサクヤヒメが散歩をしているときに、ある男の神様と出会います。
この男の神様は コノハナサクヤヒメ のあまりの美しさに一目惚れして、その場でプロポーズをしました。
普通に考えれば、出会って即プロポーズとかキモいストーカーですが、この男神はなんと天孫だったのです。名前をニニギノミコトといいます。
ニニギノミコトは日本神話の中でおそらく最も有名な太陽神、天照大御神の孫だったのです。
天照大御神は言わずとしれた伊勢神宮のご祭神であり、天皇家の始祖です。
そんな超セレブな神様にプロポーズされた木花之佐久夜毘売は「お父様に聞いてみないとわかりません」と答え、山の神である父親に相談します。
父親はニニギノミコトが天孫であることを見抜き、「めっちゃ玉の輿じゃん!」ということで、なんと コノハナサクヤヒメ だけでなく。姉の磐長姫命までニニギノミコトに嫁がせたのです。
しかし、ニニギノミコトはあまりにブサイクな磐長姫命を追い返してしまいます。
(ちなみにこれは古事記にのっている正真正銘の日本神話ですからね)
そんなことをされて傷つかない女性はいません。
心に深い傷を負った磐長姫命は妹の木花之佐久夜毘売とニニギノミコトを恨んだことでしょう。
磐長姫命は、京都の貴船神社にお祀りされています。そこにはこんな意味のことが書かれています。
「自分と同じつらい思いをする女性がいなくなるように、貴船の地で良縁を結ぶ神様としてお祀りされています」
・・・って、そんなわけないじゃん!
絶対、恨み倒してますって。ネガティブエネルギーMAXでしょ?
さて、そんな悲しいエピソードを持つ磐長姫命が祀られている京都・貴船神社の地に、今から1000年前、ある女性が訪れます。
その女性は和泉式部と呼ばれていました。
平安時代の女流歌人として紫式部と名声を二分した女性です。中学校の日本史で習いましたね。
この和泉式部は恋多き女性として有名だったようです。そのせいか、旦那さんが浮気して出て行ったみたい。
そのとき、和泉式部は貴船神社を訪れ、「夫の浮気をやめさせて自分のもとに返ってきて欲しい」とお願いします。その願いは叶えられ、夫の気持ちを取り戻すことができたという伝説が伝わっています。
つまり、磐長姫命が、和泉式部の旦那さんとその浮気相手の縁を断ち切ったということになるでしょうか。
そして旦那さんは和泉式部のもとに帰って来た。
こんなエピソードがあることも、磐長姫命に縁切りのご利益があると考えられる理由です。
京都で磐長姫命をお祀りしているのが
⛩ 藤森神社 境内 大将軍社
⛩ 西加茂大将軍神社
これらの神社です。
縁切りの神様 須勢理毘売命
須勢理毘売命は、日本神話のヤマタノオロチ退治で有名なスサノオノミコトの娘です。
スサノオノミコトといえば、天皇家の始祖である天照大御神の弟ですから、その娘となるとかなりのセレブですね。
須勢理毘売命は、神話界きってのモテ男である大国主命が一目惚れして結婚したことから縁結びの神様としても崇拝されています。
しかし、実はそれ以上に縁切りパワーが強い神様です。
その理由を説明しましょう。
大国主命は奥さんが6人いたというモテ男で、須勢理毘売命と結婚する前に、すでにヤガミヒメという奥さんがいました。
しかし須勢理毘売命は猛烈に嫉妬して、ヤガミヒメを追い出して実家に帰らせてしまいます。大国主命とヤガミヒメの縁を切って、自分が本妻の座についたのです。
しかし、その後も旦那の大国主命は他の女神を口説きに行こうとします。何せ日本一恋多き神様ですから。
須勢理毘売命は自分のもとから離れようとする夫に「わたしには夫はあなたしかいません」という意味の歌を詠み、大国主命の心を自分のもとへ引き戻すことに成功します。
強く押したり、引いたり、かなりの恋愛上手です。
このエピソードから、須勢理毘売命にはパートナーの浮気防止をお願いしてもいいかもしれませんね。
こんな須勢理毘売命が京都でお祀りされているのが八坂神社です。
京都の地には強力な縁切りパワーを持つ神様が三柱もいらっしゃいます。
すべての神様にお願い巡りをするのもいいかもしれませんね。
縁切り祈願をするときの心構え

縁切りのお願いをする人の心配ごととして「こんなことお願いしても大丈夫なのかな?」「罰が当たったりしないのかな」ということがあるのではないでしょうか?
縁切り祈願は大きく分けると4つのタイプに分かれます。
②人間関係の縁を切る・・・(例)同性の友人と縁を切りたい
③悪習の縁を切る・・・(例)酒、ギャンブルなどの悪癖をやめたい
④第三者が他人の縁を切る・・・(例)不倫相手を奥さんと離婚させたい
縁切りのお願いのタイプで最も多いのは、④の「第三者の縁を切る」というものです。
例えば、「不倫相手と奥さんの縁を切りたい」というパターンです。
自分でもすごいネガティブな願いをしているとわかっているので、不安になる気持ちはわかります。
こんなお願いをする人はやはり罰が当たって不幸になるのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
日本の神道の考え方では、あなたがどんな理不尽なお願いをしたとしても、神様が天罰を与えるようなことはありません。
縁切りで有名な神社に行ったとき、奉納されている絵馬を見て驚いたことがあります。
その絵馬には
「○○が地獄に堕ちますように」とか「○○が私の前から消えますように」
など、かなりダークな願いが書かれていたのです。
しかし神様はこんな願いもやさしく受け入れてくれます。
ただし、大切なのは、縁切り祈願をした後の心構え。
どんな心構えでいればいいのでしょうか?
縁切り祈願をした後の心構え

誰にも言えないような暗い願いも、神様に打ち明けることで心が軽くなります。少しだけ前向きになれます。
これだけでも縁切り神社に行くメリットです。
しかし、縁切り祈願をして「神様、あとはよろしく!」ではダメなんです。
自分でも縁切りが成就するために努力をする必要があります。
例えば、元カレと縁を切りたいと思ったとしましょう。
縁切り神社に行ってお願いをしたのに、いつまでも忘れられないなんてことがあります。
これは心の縁が切れていないということです。
縁を切るとは、会わないとか話さないという物理的な縁を切るだけではなく、心の縁も切ることです。
そのためには、新しいものを心の中に入れる(例えば今までやったことがないお稽古ごとをするとか)努力が必要です。
縁切り神社に限ったことではありませんが、神社でお願いする人の多くが「神様任せ」になっています。
そうではなく、「神様の力を借りて、自分の力で前に進む」という心構えでいることが縁切り祈願がうまくいくかどうかのポイントです。