
兵庫県の縁切り神社を4社紹介します。兵庫県は日本三大縁切りの神様がすべて祀られている珍しい地域です。
日本三大縁切りの神様とは
●須勢理毘売命
●磐長姫命
この三柱です。これらの神様をお祀りする神社がそろっているのは、おそらく兵庫県と京都符、島根県だけです。
それぞれ
●須勢理毘売命・・・姫路市の生矢神社
●磐長姫命・・・尼崎市の磐長姫神社
にお祀りされています。
では、なぜこれらの神様が縁切りのご利益があるのか?また実際にお参りしたときの縁切り祈願の作法についてお伝えします。
さらに兵庫の縁切り神社としてよく紹介される敏馬神社についてもまとめました。
まずは神戸市の敏馬神社からみていきましょう。
目次
●兵庫県神戸市の敏馬神社

神戸市灘区にある敏馬神社の祭神は素盞嗚尊。天照皇大神・熊野坐神が配祀されています。
が配祀されています。
これらの神様に縁切りのご利益はありません。
なのに、なぜ敏馬神社は縁切りスポットと言われるようになったのでしょうか?
・・・実は、よくわかりません(汗)
古来より、この神社の前を、離縁を恐れて花嫁行列は通らない。女神が嫉妬するからだという言い伝えがあるらしいのですが、なぜこんな言い伝えがあるのかがさっぱりわかりません。
この神社の女神って天照皇大神のことしかないわけです。他の神様は男神だから。
でも、皇室の祖先と言われる日本神話界きってのスーパー神様ですよ、天照皇大神って。
そんなビッグな神様が嫉妬する??しないよ、きっと。
それに天照皇大神に縁切りのご利益があるなんてエピソードも聞いたことありません。
またあるサイトの情報によると、この近辺は西国街道(江戸時代のメイン道路のひとつ)に面していたので、様々な遊戯施設が設けられ、陸からも、海からも、参拝者が訪れ、賑やかだったので、多くの人が恋愛関連の祈願をするうちに縁切りのご利益が生まれたとか。
なんとも説得力に欠ける説であります。結局のところ、敏馬神社になぜ縁切りのご利益があるのかはわかりません。
想像するに・・・
上に書いたように、この神社に恋愛の祈願をする人はたくさんいたでしょう。
なかには嫌いな男に言い寄られて、縁切りのお願いをした女性もいたでしょう。
そんな女性のひとりが、縁切りに成功したのです。彼女はこの神社に祈ったからだと思い込んでしまいます。
そして、彼女はインフルエンサーだった!
周りの人に口コミしていくうちに、「敏馬神社は縁切りのご利益すごいらしいよ!」なんて噂が広まっていったんじゃないかな~なんてところが真相だったりして。
いずれにせよ、お祀りされている神様に縁切りのご利益はありませんので、その辺を知った上でお参りするべきかなと思います。
●兵庫県尼崎市の磐長姫神社

では、ここからは縁切りパワーがある神様がお祀りされている神社を紹介します。
まずは、磐長姫命がお祀りされている兵庫県尼崎市の磐長姫神社から。
主祭神が磐長姫命で、底筒男命・中筒男命・表筒男命・神功皇后・菅原道真が配祀されています。
※配祀・・・主祭神にそえて、その神と縁故のある他の神をまつること
磐長姫命になぜ縁切りのパワーがあるのか?それはこんなエピソードがあるからです。
磐長姫命には絶世の美女と言われた妹がいました。名前を木花之佐久夜毘売命といいます。
しかし妹と違って姉の磐長姫命は日本神話界きってのブスと言われていました。
ある日、妹の木花之佐久夜毘売が散歩をしているときに、ある男の神様と出会います。
この男の神様は木花之佐久夜毘売のあまりの美しさに一目惚れして、その場でプロポーズをしました。
普通に考えれば、出会って即プロポーズとかキモいストーカーですが、この男神はなんと天孫だったのです。名前をニニギノミコトといいます。
ニニギノミコトは日本神話の中でおそらく最も有名な太陽神、天照大御神の孫だったのです。
天照大御神は言わずとしれた伊勢神宮のご祭神であり、天皇家の始祖です。
そんな超セレブな神様にプロポーズされた木花之佐久夜毘売は「お父様に聞いてみないとわかりません」と答え、山の神である父親に相談します。
父親はニニギノミコトが天孫であることを見抜き、「めっちゃ玉の輿じゃん!」ということで、なんと木花之佐久夜毘売だけでなく。姉の磐長姫命までニニギノミコトに嫁がせたのです。
しかし、ニニギノミコトはあまりにブサイクな磐長姫命を追い返してしまいます。
(ちなみにこれは古事記にのっている正真正銘の日本神話ですからね)
そんなことをされて傷つかない女性はいません。
心に深い傷を負った磐長姫命は妹の木花之佐久夜毘売とニニギノミコトを恨んだことでしょう。
磐長姫命は、京都の貴船神社にお祀りされています。そこにはこんな意味のことが書かれています。
「自分と同じつらい思いをする女性がいなくなるように、貴船の地で良縁を結ぶ神様としてお祀りされています」
・・・って、そんなわけないじゃん!
絶対、恨み倒してますって。ネガティブエネルギーMAXでしょ?
さて、そんな悲しいエピソードを持つ磐長姫命が祀られている京都・貴船神社の地に、今から1000年前、ある女性が訪れます。
その女性は和泉式部と呼ばれていました。
平安時代の女流歌人として紫式部と名声を二分した女性です。中学校の日本史で習いましたね。
この和泉式部は恋多き女性として有名だったようです。そのせいか、旦那さんが浮気して出て行ったみたい。
そのとき、和泉式部は貴船神社を訪れ、「夫の浮気をやめさせて自分のもとに返ってきて欲しい」とお願いします。その願いは叶えられ、夫の気持ちを取り戻すことができたという伝説が伝わっています。
つまり、磐長姫命が、和泉式部の旦那さんとその浮気相手の縁を断ち切ったということになるでしょうか。
そして旦那さんは和泉式部のもとに帰って来た。
こんなエピソードがあることも、磐長姫命に縁切りのご利益があると考えられる理由です。
●兵庫県姫路市の生矢神社

次に須勢理毘売命がお祀りされている兵庫県姫路市の生矢神社です。
須勢理毘売命は日本神話の中でも屈指の恋愛上手な神様ではないかと思っています。
次のエピソードを読んでみてください。
須勢理毘売命は、日本神話のヤマタノオロチ退治で有名なスサノオノミコトの娘です。
スサノオノミコトといえば、天皇家の始祖である天照大御神の弟ですから、その娘となるとかなりのセレブですね。
須勢理毘売命は、神話界きってのモテ男である大国主命が一目惚れして結婚したことから縁結びの神様としても崇拝されています。
しかし、実はそれ以上に縁切りパワーが強い神様です。
その理由を説明しましょう。
大国主命は奥さんが6人いたというモテ男で、須勢理毘売命と結婚する前に、すでにヤガミヒメという奥さんがいました。
しかし須勢理毘売命は猛烈に嫉妬して、ヤガミヒメを追い出して実家に帰らせてしまいます。大国主命とヤガミヒメの縁を切って、自分が本妻の座についたのです。
しかし、その後も旦那の大国主命は他の女神を口説きに行こうとします。何せ日本一恋多き神様ですから。
須勢理毘売命は自分のもとから離れようとする夫に「わたしには夫はあなたしかいません」という意味の歌を詠み、大国主命の心を自分のもとへ引き戻すことに成功します。
強く押したり、引いたり、かなりの恋愛上手です。
このエピソードから、須勢理毘売命にはパートナーの浮気防止をお願いしてもいいかもしれませんね。
●兵庫県美方郡の金刀比羅神社

さあ、最後に日本最強の縁切りパワーを持つといわれる崇徳上皇です。
兵庫県美方郡の金刀比羅神社にお祀りされています。
崇徳上皇のエピソードをご覧ください。
崇徳天皇は実際に在位した不遇の天皇です。第75代の天皇で、幼くして即位しました。
しかし父親である第74代の鳥羽天皇から「お前は私の息子ではない」と疑われてしまい、20歳で退位させられます。
(天皇が退位すると「上皇」となります。平成天皇が退位されて上皇様になったのと同じです。)
崇徳上皇はもちろん納得するはずがありません。当時の日本の最高権力者の地位から父親によって引きずり降ろされたのですから。
崇徳上皇は反乱を起こします。反乱を起こして、自分の後に天皇に即位した後白河天皇と戦います。
しかしその戦いに敗れてしまい、讃岐に島流しになります。
京都の地から讃岐に島流しになるときに、愛する奥さんとも引き離されます。彼は世の中に絶望してしまい、すべての欲を断ち切って、讃岐の金毘羅宮に引きこもってしまったのです。
このエピソードから、崇徳天皇は世に恨みを抱く「日本の三大怨霊」の一人と言われることもあります。
しかし、崇徳天皇は本当はとても優しい人でした。愛する妻と離れ離れになって自分と同じ苦しみに悩む人がいなくなるようにと、幸せを妨げる悪縁を断ち切って、良縁を結んでくれる神様として崇拝されるようになったのです。
縁切り祈願の作法

拝殿の前に立って手を合わせます。
二礼二拍手一礼。そしてお願いをします。
あなたの住所・氏名を述べ、
「イワナガヒメ様、私と彼の間を邪魔する○○さんとの縁をお切りください。そして○○さんも幸せになれますように」
こんな感じでお祈りします。
ポイントは、憎しみを出すのではなく、「私も、そして縁を切った相手も幸せになれますように」とお祈りすることです。
「相手も幸せになって欲しいなんて思えない!」という人がほとんどでしょう。
心の底からそう思えなくても構いません。
そう思えなくてもいいけど、相手の幸せも願っているようにお祈りするのです。
そのほうがお願いを聞き入れていただきやすくなるのではないでしょうか。
縁切り祈願なんてして罰が当たらないのでしょうか?

縁切りのお願いをする人の心配ごととして「こんなことお願いしても大丈夫なのかな?」「罰が当たったりしないのかな」ということがあるのではないでしょうか?
縁切り祈願は大きく分けると4つのタイプに分かれます。
①異性との縁を切る・・・(例)彼氏と別れたい
②人間関係の縁を切る・・・(例)同性の友人と縁を切りたい
③悪習の縁を切る・・・(例)酒、ギャンブルなどの悪癖をやめたい
④第三者が他人の縁を切る・・・(例)不倫相手を奥さんと離婚させたい
縁切りのお願いのタイプで最も多いのは、④の「第三者の縁を切る」というものです。
例えば、「不倫相手と奥さんの縁を切りたい」というパターンです。
自分でもすごいネガティブな願いをしているとわかっているので、不安になる気持ちはわかります。
こんなお願いをする人はやはり罰が当たって不幸になるのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
日本の神道の考え方では、あなたがどんな理不尽なお願いをしたとしても、神様が天罰を与えるようなことはありません。
縁切りで有名な神社に行ったとき、奉納されている絵馬を見て驚いたことがあります。
その絵馬には
「○○が地獄に堕ちますように」とか「○○が私の前から消えますように」
など、かなりダークな願いが書かれていたのです。
しかし神様はこんな願いもやさしく受け入れてくれます。
縁切り神社で神様にお祈りするときのポイントは、「縁切りしたい相手の幸せも願うこと」です。
縁切りのお願いをしたいという場合、多くは相手に対する憎しみの気持ちが大きいでしょう。
しかし「自分の幸せだけでなく、相手の幸せも願う」という態度でお祈りするほうが神様に届きやすいんじゃないかなと思っているのです。
そして、大切なのは、縁切り祈願をした後の心構え。
どんな心構えでいればいいのでしょうか?
縁切り祈願をした後の心構え

誰にも言えないような暗い願いも、神様に打ち明けることで心が軽くなります。少しだけ前向きになれます。
これだけでも縁切り神社に行くメリットです。
しかし、縁切り祈願をして「神様、あとはよろしく!」ではダメなんです。
自分でも縁切りが成就するために努力をする必要があります。
例えば、元カレと縁を切りたいと思ったとしましょう。
縁切り神社に行ってお願いをしたのに、いつまでも忘れられないなんてことがあります。
これは心の縁が切れていないということです。
縁を切るとは、会わないとか話さないという物理的な縁を切るだけではなく、心の縁も切ることです。
そのためには、新しいものを心の中に入れる(例えば今までやったことがないお稽古ごとをするとか)努力が必要です。
縁切り神社に限ったことではありませんが、神社でお願いする人の多くが「神様任せ」になっています。
そうではなく、「神様の力を借りて、自分の力で前に進む」という心構えでいることが縁切り祈願がうまくいくかどうかのポイントです。