
福島県の縁切りスポットとして、福島県猪苗代町の「磐椅神社」と福島県檜枝岐村の「橋場のばんば」を紹介します。
なぜこれらの神社に縁切りの効果があるのか?そして縁切りのご利益を最大にするお参りの方法もお伝えします。
●福島県檜枝岐村の「橋場のばんば」


「ばんば」とは老女のことです。写真の愛嬌のある老女の石像が福島県檜枝岐村の「橋場のばんば」です。
これはどうも地元の方々が水難から村の子どもを守る神様として崇めていたようです。
縁切りの信仰が始まったのは次のようなエピソードがあったからです。
望まない縁組に悩んでいた村民の若い男性が婚約相手との縁を切りたいと願い、石像にはさみを供えたのです。
そこから逆に「切れ味の悪いはさみを供えれば良縁に恵まれるのでは」と考えた人がいたようで、今では悪縁切り、良縁結びの観光スポットになっています。
歌舞伎が演じられる国指定重要有形民俗文化財「檜枝岐の舞台」へと続く石畳の参道の途中に祀られているので、歌舞伎の講演時には観光客が増えるようです。
●福島県猪苗代町の「磐椅神社」

地元の人からは「いわきさま」と呼ばれ親しまれている磐椅神社。
この神社に縁切りのご利益があることを知っている人は少ないのではないでしょうか。
むしろ境内には「えんむすび桜」があり、縁結びのスポットして知られています。
では、なぜ磐椅神社に縁切りのご利益があるのか?それをこれから説明します。
磐椅神社のご祭神は大山祇神・埴山姫命です。
相殿として一緒にお祀りされているのが
木花佐久夜毘賣命(このはなさくやびめのみこと)・磐長姫命(いわながひめのみこと)・品陀和氣命(ほんだわけのみこと)・息長足姫命(おきながたらしひめのみこと)の四柱。
磐長姫命と木花佐久夜毘賣命は姉妹。その父親が大山祇神という関係です。
この姉妹には衝撃のエピソードがあり、そのエピソードから姉の磐長姫命には縁切りのパワーがあると考えられるのです。
実際に、今から約1000年前、和泉式部という女性が磐長姫命から縁切りのご利益を授かっているのです。
どんなエピソードがあったかというと・・・
磐長姫命の妹である木花佐久夜毘賣命は絶世の美女と言われていました。
しかし妹と違って姉の磐長姫命は日本神話界きってのブスという評判。
ある日、妹の木花佐久夜毘賣命が散歩をしているときに、ある男の神様と出会います。
この男の神様は木花佐久夜毘賣命のあまりの美しさに一目惚れして、その場でプロポーズをしました。
普通に考えれば、出会って即プロポーズとかキモいストーカーですが、この男神はなんと天孫だったのです。名前をニニギノミコトといいます。
ニニギノミコトは日本神話の中でおそらく最も有名な太陽神、天照大御神の孫だったのです。
天照大御神は言わずとしれた伊勢神宮のご祭神であり、天皇家の始祖です。
そんな超セレブな神様にプロポーズされた木花之佐久夜毘売は「お父様に聞いてみないとわかりません」と答え、山の神である父親に相談します。
父親はニニギノミコトが天孫であることを見抜き、「めっちゃ玉の輿じゃん!」ということで、なんと木花佐久夜毘賣命だけでなく。姉の磐長姫命までニニギノミコトに嫁がせたのです。
しかし、ニニギノミコトはあまりにブサイクな磐長姫命を追い返してしまいます。
(ちなみにこれは古事記にのっている正真正銘の日本神話ですからね)
そんなことをされて傷つかない女性はいません。
心に深い傷を負った磐長姫命は妹の木花佐久夜毘賣命とニニギノミコトを恨んだことでしょう。
磐長姫命は、京都の貴船神社にお祀りされています。そこにはこんな意味のことが書かれています。
「自分と同じつらい思いをする女性がいなくなるように、貴船の地で良縁を結ぶ神様としてお祀りされています」
・・・って、そんなわけないじゃん!
絶対、恨み倒してますって。ネガティブエネルギーMAXでしょ?
さて、そんな悲しいエピソードを持つ磐長姫命が祀られている京都・貴船神社の地に、今から1000年前、ある女性が訪れます。
その女性は和泉式部と呼ばれていました。
平安時代の女流歌人として紫式部と名声を二分した女性です。中学校の日本史で習いましたね。
この和泉式部は恋多き女性として有名だったようです。そのせいか、旦那さんが浮気して出て行ったみたい。
そのとき、和泉式部は貴船神社を訪れ、「夫の浮気をやめさせて自分のもとに返ってきて欲しい」とお願いします。その願いは叶えられ、夫の気持ちを取り戻すことができたという伝説が伝わっています。
つまり、磐長姫命が、和泉式部の旦那さんとその浮気相手の縁を断ち切ったということになるでしょうか。
そして旦那さんは和泉式部のもとに帰って来た。
こんなエピソードがあることも、磐長姫命に縁切りのご利益があると考えられる理由です。
そんな磐長姫命がお祀りされているのが磐椅神社なんです。
磐長姫命への縁切りのお願いはこんなふうにしましょう。
拝殿の前に立って手を合わせます。
二礼二拍手一礼。そしてお願いをします。
あなたの住所・氏名を述べ、
「イワナガヒメ様、私と彼の間を邪魔する○○さんとの縁をお切りください。そして○○さんも幸せになれますように」
こんな感じでお祈りします。
ポイントは、憎しみを出すのではなく、「私も、そして縁を切った相手も幸せになれますように」とお祈りすることです。
「相手も幸せになって欲しいなんて思えない!」という人がほとんどでしょう。
心の底からそう思えなくても構いません。
そう思えなくてもいいけど、相手の幸せも願っているようにお祈りするのです。
そのほうがお願いを聞き入れていただきやすくなるのではないでしょうか。
縁切り祈願なんてして罰が当たらないのでしょうか?

縁切りのお願いをする人の心配ごととして「こんなことお願いしても大丈夫なのかな?」「罰が当たったりしないのかな」ということがあるのではないでしょうか?
縁切り祈願は大きく分けると4つのタイプに分かれます。
①異性との縁を切る・・・(例)彼氏と別れたい
②人間関係の縁を切る・・・(例)同性の友人と縁を切りたい
③悪習の縁を切る・・・(例)酒、ギャンブルなどの悪癖をやめたい
④第三者が他人の縁を切る・・・(例)不倫相手を奥さんと離婚させたい
縁切りのお願いのタイプで最も多いのは、④の「第三者の縁を切る」というものです。
例えば、「不倫相手と奥さんの縁を切りたい」というパターンです。
自分でもすごいネガティブな願いをしているとわかっているので、不安になる気持ちはわかります。
こんなお願いをする人はやはり罰が当たって不幸になるのでしょうか?
いいえ、そんなことはありません。
日本の神道の考え方では、あなたがどんな理不尽なお願いをしたとしても、神様が天罰を与えるようなことはありません。
縁切りで有名な神社に行ったとき、奉納されている絵馬を見て驚いたことがあります。
その絵馬には
「○○が地獄に堕ちますように」とか「○○が私の前から消えますように」
など、かなりダークな願いが書かれていたのです。
しかし神様はこんな願いもやさしく受け入れてくれます。
縁切り神社で神様にお祈りするときのポイントは、「縁切りしたい相手の幸せも願うこと」です。
縁切りのお願いをしたいという場合、多くは相手に対する憎しみの気持ちが大きいでしょう。
しかし「自分の幸せだけでなく、相手の幸せも願う」という態度でお祈りするほうが神様に届きやすいんじゃないかなと思っているのです。
そして、大切なのは、縁切り祈願をした後の心構え。
どんな心構えでいればいいのでしょうか?
縁切り祈願をした後の心構え

誰にも言えないような暗い願いも、神様に打ち明けることで心が軽くなります。少しだけ前向きになれます。
これだけでも縁切り神社に行くメリットです。
しかし、縁切り祈願をして「神様、あとはよろしく!」ではダメなんです。
自分でも縁切りが成就するために努力をする必要があります。
例えば、元カレと縁を切りたいと思ったとしましょう。
縁切り神社に行ってお願いをしたのに、いつまでも忘れられないなんてことがあります。
これは心の縁が切れていないということです。
縁を切るとは、会わないとか話さないという物理的な縁を切るだけではなく、心の縁も切ることです。
そのためには、新しいものを心の中に入れる(例えば今までやったことがないお稽古ごとをするとか)努力が必要です。
縁切り神社に限ったことではありませんが、神社でお願いする人の多くが「神様任せ」になっています。
そうではなく、「神様の力を借りて、自分の力で前に進む」という心構えでいることが縁切り祈願がうまくいくかどうかのポイントです。